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楽器博物館本番終了!/le recital a fini au musee d`instrument a Bruxelles

あ~~~~~終わった~~~!

というのが正直な今の気持ちです。

本当に大変でしたね。
昨日、無事にブリュッセルの楽器博物館で2台のフォルテピアノでの本番が終わりましたが、
まあ何とも大曲ばかりをプログラムに入れてしまって、一番大変だったのは誰でもない自分自身。
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自業自得といえばそれまでですが、ピアノのレパートリーは本当に弾きこなすのに時間がかかります。
そういった意味でも色々な反省点があり今後に役立てれればと思います。
少なくとも、次回ピアノの本番の企画をする時にプログラムはもの凄く慎重に決めると思います。

ただでさえ、この2ヵ月前からオーケストラや室内楽のコンサートが立て続けだった疲労がたたり、ピアノの本番はチェンバロに比べて3-5倍肉体疲労もすることを実感しました。

その為、アフターケアというかゆっくり休んで回復するのも大事。
1回目のメンデルスゾーン、ベートーベンのリサイタルは良く寝てきちんと食べて、4日前からフォルテピアノ漬けになりタッチや音色もかなり馴染んだ状態でそのまま本番に臨めたため、集中力が最後まで続いたようです。

しかし、昨日は休むべき3日に疲れを取らなかったのと、本番前に睡眠・食事共にあまりに少ない量で本番の日をどうやら顔色も普段に比べて白っぽい・・・と後で言われてしまいました。ご飯も食べる時間がないくらい限定された博物館の練習に追われてしまったのですが、取るべき時間にきちんと体調を整えるのもとても大事だと学びました。

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やはり音を生み出す、リサイタルのプログラムを弾きとおすのは、結構な体力と集中力を要するので、エネルギーがなければ無理なのに、今回はコンデイションが万全ではなかったですね。

その為、今思うと弾いている最中に小さなミスがあっても、元気な時や精神的に安定している時は気にならないかもしれませんが、昨日は、心が動揺してしまい、そうなると小さなミスの後にまたミス・・・と演奏に出てしまいます。

まあ、フィギュアスケートなどだと分かりやすいですが、やはりここぞ!という決めてのジャンプの時などに一瞬の心の隙や準備が0.5秒でも遅いと、もうそれは決まらない分けです。

チェンバロとピアノは明らかに音量の差もありますが、曲の長さ、音の多さ、集中するポイントが違うんですね。これは、やはりチェンバロの本番に慣れているので、久しぶりにピアノの大曲オンパレードを今回弾いてみて大学の頃を思い出しました。

そういえば・・・10年前はがむしゃらに8時間でも弾いていたけど、それだけの体力もあったなと。
でも、音楽的にはよく理解してないのにただ指だけ回っていた気もするのですが。

ということで、私の中ではピアノへのカムバックはまだまだの道のりです。
この2年リハビリと称してチェンバロタッチからどこまでピアノを取り戻せるか・・と実験中ですが。

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そして面白いのは、本番など特別な場になると、10年前にあったピアノの癖が出てくる。
体の記憶というのはすごいですね。

勿論、自分では無意識なのですが、ショパン時代のピアノはかなり大きいので弾いている時に、必要ないのに腕までかなり使って弾くわけです。

このピアノは本当に素晴らしい音質で繊細なので、楽器の音を聞いてればどれくらいの加減やタッチで弾けば一番響くのか、叩いても汚い音になるだけで、響きをかえってつぶすことにもなり得るのに、体が気がついたら10年前のモダンピアノのタッチに戻っているわけです。

そして録音して客観的に聞くと、やはりピアノの限界に近いような音。叩きすぎているわけです。
チェンバロでもそうですが、楽器の一番自然に鳴ってくれる以上の力を加えてもきれいに響きません。汚い音になるだけです。心も気負わないで、楽器と対話すると響いてくれる。

そんなことをこの3日間色々試して実際に本番でも弾いたのですが、やはり本番にしかない緊張感、空気というのがあり、その中でいかに呼吸を落ちつけて心の中で思い描いている音を表現するか・・・

なのですが、言うのは簡単、やるのは大変。
そして、昨日は呼吸は・・・気がついたら犬みたいにかなり上がってましたね。(苦笑。勿論、本番中は笑える余裕などないからそんなことになっているのですが!)

ということは、勿論音の深さもないでしょうし・・・
まだ録音は聞いていないのですが、また数日後に客観的に聞くと誰に何を言われるよりもショック!を受けたり、自分の見たくない姿もありありと見るわけで、それを受け入れ、まだまだ修行!ということで続くわけです・・・

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ショパンの愛したフランス製プレイエル社のフォルテピアノ 1843年。これでショパンとフランクを演奏しました。

何はともあれ、昨晩家に戻り本当に*どさっ!*という音を立てて肩の荷が下りた気がしました。

まだまだ、7月半ばまでコンサートが続くのですが、取り合えず山場は越えたでしょうか。この1か月半は本当に目まぐるしかったですが、その中のテンポに慣れるとやはりその中で色々とこなせていくのでしょうか。

本当に私はしょっちゅうツアーで出かけて弾いてる友人たちや長時間のレパートリーを顔色変えずに弾きこなせてしまうピアニストの友達を心から尊敬しますね。
気力、体力、そして経験が伴えばどこで力を抜いてどこできちんと決めるか加減が分かると思いますが、私はかなり不器用なので色々な失敗や経験をして学ぶタイプです。

ということで、今回もチェンバリストが憧れの曲を弾いてみました・・・
みたいになってしまいましたが、あの素晴らしいショパンやフランク、そしてモーツアルトの世界に改めて触れられたのは本当に感謝・感激です。

来週からはオーケストラとモーツァルトのシンフォニー40番とテノールの歌手とラモーやグルックのオペラのアリアの抜粋のリハーサルとドイツの2回のコンサートでWurzwurgに行ってきます。

モーツアルトが幸せな時代を過ごした素敵な中世の町だということで初めて訪れるのが楽しみです。
1日オフ日があるので、町を散策するのが楽しみです。

聞いてみるとN.Yやブリュッセルにいる音楽仲間もみんなツアーで行くコンサートよりもガイドブックを広げてどこに行こうかな~~という方が楽しみだったりするみたいです。(笑)