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感謝/Le remerciment

去年、パリー日本へチェンバロを飛行機輸送した際に、加入していたイギリスの楽器保険の期限が切れてしまいました。再度、聞いてみると 【2012年1月に更新】の新しい条件が。

色々な事故や盗難の条件があるのですが、新しく【放射能物質によるダメージなど】という項目がいくつか増えており、目を丸くして見てしまいました。そんな事が条件に書かれているなんて意外でした。

確かに、イギリスやフランス、アメリカに住み、日本の震災に対して同情している人たちでも、
【今、日本にすぐに来て住む?】と聞いたら、きっと8割の人がNoと言うかもしれません。
必要以上に外から見ている人にとっては、【防衛状態】になるかも知れません。

逆に、日本語とフランス語の交換授業をしていた友人のお母様は、大の親日家。娘3人を育て上げたマルセイユ出身の肝っ玉母さん

以前にも日本へ来て、みんな親切に道を教えてくれたりして、震災の知らせを聞いてすぐに【FUKUSHIMA】へ行って、お料理でも作ってあげたいと真剣に思ったそう。
でも、足の手術をしたばかりで実際には行ける体調ではなかったそうです。

【放射能なんか怖くない!3人子供も無事に育って孫も居るし、私には何も怖いものはない!】と言い切ったブルーの瞳に、圧倒され、日本への深い愛情に感謝の気持ちが湧いてきました。

1年経ってもまだ【がれき受け入れ問題】や、避難している方達も多い中、政府の対応はとても遅いのではないかと思います。そんな中、【たこ焼きチェーン店】の車が真っ先に被災地へ行ってアツアツのたこ焼きをみんなに食べさせてあげたり、長淵剛さんや福山雅治さんがコンサートなどで得た1億円を被災地に寄付したり、国民全員が”いつ自分に起こってもおかしくない状況”で困っている被災地の方々への協力があり、少しずつ復興へとつながっているのだと思います。

被災地で医師をしている方が、震災以降仮設住宅へ住んでも、引きこもりがちのお年寄りの方が多いとおっしゃっていました。
その中には、

外出して子供を見ると亡くなった孫を思い出してつらいから家にいる方
友達がほとんど居なくなってしまったから一緒に出掛ける相手がいない方
仕事もないし、この先不安で精神安定剤を飲まなくては恐怖感から寝れない方
外出しいないから運動不足で肥満になってしまう方

など、街が復興しないと循環していかない問題が沢山あるとおっしゃっていました。

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先日、ピアノ修復家の方が、震災数日内には

【カップラーメンがあっても燃料がなければお湯も沸かせないから食べれない】という事実を知り、ガソリンをピアノ運搬用トラックに積んで、2日かけて仙台まで運び、その先の被災地まで届けるのにまた2日かかったそうです。

その時は、その方も【音楽】という贅沢な事をしていて良いのだろうか・・・という戸惑いがあったそうです。

①燃料
②食料
③音楽

が人間にとって必要だと被災地を巡って実感したとおっしゃっていました。
勿論、生きていくために必要なお金も必要だと思いますが、音楽は心を大きく支えるという事を実感なさったそうです。

その後、ピアニストの方と被災地にピアノを運んで50か所以上で学校や誰かの家など数十人しか集まれないような場所で小さいなコンサートをしても、みんな心が和み、本当に喜んで下さったという事です。

その姿を見て、戸惑いを持って始めたコンサートでしたが、【音楽】が人を元気にしてくれる力を目の当たりにし、楽器も全て失った小学校へ都内の学校で使っていない楽器を寄付して貰い運んだり、壊れているピアノをラジオを通して募集した所、数十台ものピアノが寄付され、それを彼一人で修復し、すでに被災地へプレゼントしに行ったそうです。

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彼曰く、ウィーンの街角にもヴァイオリニストが立って弾いている。
音楽が聞こえれば、人の心は和み、そして生きようという気力が湧いてくる・・・と。
私も、小さな存在ながらチャリテイーコンサートなどが出来ないかと思っております。

こうして、毎日生きれる、洋服がある、音楽を聴けるという事はとても恵まれたことだという事を忘れてはいけませんね。

1人では生きれません。皆さんに感謝。そして、自分の体と”今”という一瞬を生きていれる事にも。

去年の3月11日に体験した揺れ、危機感と起ったことは、もう一生経験することがないかもしれません。だからこそ、自分の心が浮ついた時、リセットする、【生かされている】ということを感じる為にも忘れてはいけませんね。

当たり前の事が、当たり前ではないのかもしれません。