本帰国しました:引越しの巻き/rentree au Japon:le demenagement
あっという間に数カ月が経ってしまいましたが、この間まさに【大陸大移動】をしておりました。
実は2月に12年ぶりに本帰国をしました。
数年前から日本へそろそろ帰ろうか…と思っていましたが、タイミングがいつが良いのだろう?と思いつつパリで仕事を始めコンサートなどがあった為、ではあの後に・・・と思ったら他のコンサートが入った、では、もう半年延期?みたいな・・・
ということで、ちょうど去年の秋~2011年1月にバッハのブランデン協奏曲のツアーが無事に終わり、その後に帰ろうではないか!?
と秋に一大決心をしました。
しかし、色々考えた割には決めたらあれよ~あれよ~と転がるように時間が経ち、あっという間に帰国という感じでした。
【クレイジーなラスト1週間】
帰国間際の最後の1週間、最後は本当にクレイジーな多忙で、もう少し余裕を見るべき?という殺人的なスケジュールでしたが、要するに引越しの最終段階とオーケストラのツアーが同時進行だったわけです。そしてアパートを引き払って3日後に飛ぶ!というパリへのお別れに浸っている間もないままどうにか飛行機まで間に合わせなければ!!と手帳はやることノートで毎日びっしり。
そして、電話、携帯、保険、税務署、電気などの解約手続きがあるある。
フランスは全部書面の書留で送らないと法律的に解約が認められていないのでとても面倒です。アパートは3カ月前までに大家さんに書留で送らないといけないシステムです。日本のサービスは天国ですね。
でも、意外だったのは一番短時間でスムースだったのは税務署と保険の解約はなんと5分で終わりました。パリに住んだ5年間でこんなに早く手続きが終わったのは初めて?という最初で最後の?貴重な体験でした。
朝5時に起きて掃除をしてリハーサルに10時~行って、午後にチェンバロを日本へ向けて送り、翌日はオーケストラのツアーで南仏へ朝6時起きで行ってそのままコンサート弾いて・・・など、ご想像にお任せしますが。
でも、予想外にゆっくりできたのはこの南仏。
ソロのブランデンの5番の他弾かない曲が数曲あったので、その間のリハーサルはOFF!!
願ってもみないフリータイム~~!
ということで、アパートの掃除もできないしこれはゆっくりするしかない。と4時間、5時間睡眠が続いてフラフラだったので久しぶりに爆睡して、セザンヌの晩年住んでいたエクス・アン・プロヴァンスのアトリエへ行ったり、マルシェへ行ったり、アルルの円形劇場や教会、街、ゴッホの描いたカフェを散歩したり。
その時に思い出したのですが、14年前に生まれて初めてフランスへ行った時にパリーアルルへ行ったな~と思い出しました。それをお土産屋さんのおばちゃんに話したら、アルルへ戻ってきてパリでこの【12年間のチェンバロ放浪生活?】を終えるというのは、フランスのことわざで【原点に戻る】というのがあるよ、と教えてくれました。フランス語の言い回しで直訳すると【クリップをはめる】という感じでしたが、きちんと●を描き終えるみたいな感じでしょうか。面白いですね。
そう言われてみればそうだなと。
14年前に片言のフランス語しか分からず、地図片手にキョロキョロと街を歩き、そして感激した青空のアルルにまさか14年後に来てフランス生活を終えるなんて思いもしなかったと。その時はフランスに住むことさえ想像もしていなかった分けですから。
そして、何よりもこんなに死にそうに忙しい引越し4日前とかにアルルなんかに仕事でもなければ来ないでしょ。とこれは縁があるな。と
そんなことで何とも感慨深い気持ちでありがたい気持ちで一杯でしたね。
アパートの引き払う前日は南仏から戻り最後のパリのサル・プレイエルでのコンサートがあり、その頃には自宅からもうチェンバロがなくなって4,5日立っているので家でも練習できないのになぜかライブ放送でそのままインターネットで流れるのに、指は【ナス!】みたいにぼよぼよ。の感覚だったり・・・一体弾けるのか?という状況・・・でも、引越し途中だから弾けないなんて言い訳は勿論通用しない。
それでも、何でも良いのでその場はが~~っと集中して弾いて、最後の家掃除をしてゴミ捨て所に10回くらい往復してて、翌朝のアパート引き払いにどうにか間に合わせたみたいな。
最後は捨てても捨てても、物があって【床から物が沸いてきているのでは?】なんて思うほどでした。夜中に小人が来て物増やしていってるのでは?なんて思うほど。普通小人さんは靴作ったり片付けてくれそうですが・・・
【浦島花子?!】
今までに、日本ーボストンーアムステルダムーパリと3カ国まさに異国の地をジプシーの様に転々としてきましたが、いよいよ【浦島花子、日本へ帰る!】といった感じで、さすがに12年ぶりともなると、果たして日本人の常識がまだあるのか?
日本で普通に暮らしていけるのか?
など、色々な疑問もありましたが、結論から言うとやっぱり日本人!
戻ってきたらす~っと馴染み、そして日本の良さが昔以上に身にしみます。
とにかく何でも便利、早い、サービスの良さ、丁寧さは世界一だと思います。そして日本食を食べれるのは本当に幸せです。勿論パリでもほとんど日本食でしたが何でも1から作らないといけない、食材を買いに行くのも日本食スーパーに行かないとないという感じなので、納豆でも買ってくるご馳走な分けですね。
【引越しの巻き】
引越しの話に戻りますと、結局段ボール12個+スーツケース2個分+チェンバロ(空飛びました!)で12年の荷物を整理して日本へ運びました。
洋服の8割は寄付、知人や友人で使って頂ける物を使って下さい~と引き取って頂き、結局1箱+スーツケースで済みましたが、楽譜のコピーが12年分溜まっていてそれを捨てたり仕分けするのに気が遠くなりそうで、11月ー1月まで少しずつ準備をしました。
そして、楽譜をまとめ買い!
ただでさえチェンバロの楽譜はヨーロッパで買っても高く一万円くらいすることも珍しくなく、今まで少しずつ揃えていましたが、やはりこれは一生使うもの!と意を決して楽譜屋さんへ。
これも、あれも、あとあれも。とどんどん重ねて行き最終的に54冊であんなに長いレシートは見たことありません。でも、スカルラッテイのソナタだけでも11巻(500曲以上書いて1冊1万円くらいなのですでに11万位)そして、その最後の数字は・・・目が点。2000ユーロ以上(25万位)
もう1度確認したけれど、やっぱり全部必要なレパートリー・・・
日本へ帰って買いたくても割高だったり2週間くらい待ってお取り寄せということも・・・
ということで、無駄なショッピングやダイヤ1個買うよりいいでしょ。
ということで、自分へのプレゼントということで。
その他日用品、家具も全て友人宅へ引き取って頂きました。本当に友達のみんなに助けられ感謝です。
洋服を取りに来てくれた友達は、結局スーツケースで来て貰い、帰りはそれ+収納ボックスなどで持てなくてタクシーで帰ったり。
【チェンバロ空を飛ぶの巻き】
そして何よりも一番気を使ったのは勿論【チェンバロ】です。
船便は今はほとんど使わないようです。その理由は赤道直下を通る時に40度以上の高温で楽器がとても痛むということで、グランドピアノ、チェンバロもほとんど今は全て空輸で飛行機で1日後には成田へ到着です。
1つ船便のオプションがあったのは、3カ月に1回大量のワインを運ぶワイン専用の船の気温は、常に18度(確実な度数はあっているか謎?)に保たれているそうです。その船でハープを運んだ方がいらっしゃるようですが、やはりフランスを出て日本へ到着するのも数週間かかるようです。
その点、空輸は梱包ーフランス空港の税関ー飛ぶ!-成田で税関ー家まで配達を1週間ー10日で済ませます。
それにしても、心配で心配で。子供が居ないのに我が子を心配する母の様な気持になりましたね。
結局、無事に響板なども割れなく到着しましたが、2月はフランスもかなり寒く日本の成田空港の倉庫へ取りに行った時も気温9-10度の場所に普通に木箱に入れて置かれてました。(泣)
木箱の蓋を壊して明け、チェンバロにダメージがないか点検。
何しろ響板の薄い場所は2-3ミリの部分もあるので、こんなに寒い冬に空飛んだ圧力などでひびが入ってもおかしくないのに・・・が~~ん。。。大丈夫であろうか・・・
勿論、国際楽器保険に入っているのでどこで何が起きても保険がカバーしてくれるのですが、受け取る前に点検せずに自宅へ持ち帰ってひびが入ってました場合に郵送会社が責任を取らない事など問題がおこりかねないので倉庫で確認しました。
実際に楽器を取りだし、ちょっと弾いたら鍵盤が凍て付いて=楽器も相当冷えている状態でしたが、ポロロ~~ンと音が鳴り無事を確認して、すぐに持ち帰りました。
楽器を開けたら、今までの真面目に対応していた係の方にも、
【おお!ちょっと、カメラ、カメラ!】と言って取りに行き、パチパチと何枚か取っていましたが、初めて見ました~~~っと珍しそうにおっしゃってました。
ということで、無事に我が家に到着したチェンバロ。もう空を飛ぶことはないでしょう。
今後の東京でのコンサートで自分のチェンバロが使えるようになったことは、本当に嬉しいことです。
最近やっと段ボール9箱分の楽譜、書類が入るスペース分の本を処分して棚を開けて整理した所です。今度は東京の家の大掃除中です。
それにしても、放っておくと増え続ける物はなければない方が良いのに!と思います。
今回の引越しを通して、かなり捨てる癖が付いたので、思い切って使わないもの、いらない物は処分か寄付をすることにしました。
その方がスッキリとシンプルになっていいですね。
ついでに頭の中も整理整頓したいものです。
続く・・・