こんばんは。

何だかこの10日ほどパリなのに梅雨の様な・・・・・・お天気が続いています。
冬は湿度が38%まで落ちるのが平均なのですが、51%もあります。

チェンバロの保存の為にいつも温度計&湿度計は楽器の横に置いてあり、加湿器で冬は調整します。

さて、昨日・今日と立て続けに2つフォルテピアノでの本番があり、終わって一息しているところです。

昨日は、2つフォルテピアノでベートーベンのヴァイオリンソナタ“春”とショパンのソナタ2番。
そして昨日それが終わってすぐにブリュッセルに電車で行き、今朝は楽器博物館の貴重な楽器で練習。来週リサイタルがあるので楽器に慣れるためです。

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まるでストラディヴァリウスのピアノ版みたいな名器!プレイエル1843年。素晴らしい音色です。

博物館が使用できる時間が限られている為モーツァルトのソナタとショパンのソナタを練習した後すぐにシューベルトのピアノトリオの本番。

頭の中がくるくるしそうでしたが、それよりも腕がそれぞれの楽器に慣れるまで15分くらいは最低必要なので、頭の切り替えだけでなく、腕やタッチを順応させるのが大変ですね。

チェンバロの場合は本番でも頭の中の集中力だけで、肉体的な労力はほとんどない為、脳と指先がピピッとつながってやりたいことがすぐに反応するのですが、大きなフォルテピアノの場合はまだまだ肉体的に大変な部分もあり、体が一生懸命にピアノに順応しながら弾いている・・・という労力を感じます。

勿論、もっと自然に“無意識”に腕が反応するのうになるのが一番ですが、まだリハビリ中といったところでしょうか。ピアノを弾かなくなって10年の漬けは大きいです!

今(自称)リハビリ開始して2年目ですが、まあやっと慣れてきたという感じでしょうか。でも、これは誰の為でもなく自分の為に“今”しなければ、一生ピアノを弾かないかも?!と思ったので始めたので良かったと思います。

やろう!と思ったその時がやり時?!ではないでしょうか。
ハーバードのMedical スクールやサマースクールでも、1度ビジネスマンだった人がやっぱりお医者さんになる!弁護士になる!と40歳過ぎで新たな人生に挑戦している姿は珍しくなく・・・

アメリカではその人が *今やりたいこと*と思ったら年齢なんか関係ないんだな。と思うほどぶっ飛んでいる人が多かったです。ハーバードの科学や法学、医学専攻の学生なのに音楽家並にヴァイオリンが上手だったり、才能豊かな人がこんなに居るんだなと目から鱗でした。

話を戻しますが、シューベルトのトリオは、まあとにかく凄い集中力を必要としました。そして腕や体も使わないと楽器が鳴らないので終わったら何だか左の腕のすじが突っ張っていて、*変な弾き方したかな?無理したかな?*と体がシグナルを出してました。

来週の本番ではこういうことがないような、もっと体の中から呼吸を上手くフレーズと合わせて無意識に使えたら自然な流れの音楽になると思いますが。

まあ、3,4日で変わるようなことではないもっと根本的なことですが・・・

ところで、友人にデジタルのとても手軽な最近日本でも数種類出ている録音器を借りたのですが、すごい万能!

軽くて小さいのに音質も良く、コンピューターにそのまま落とせるので自分の演奏がデータとして残せるし、またすぐにも消せる(!)ので気楽に普段の自分のチェックに使えそうです。今回の本番には間に合いませんでしたが今度日本で買ってこようと思ってます。

早速、昨日と今日の自分の演奏を聞いたのですが、やっぱり弾いている時と違うことが色々よく分かります。


当たり前ですが第3者として客観的に見えます。
こういう゛耳”が弾いてる時にもっと必要だなあと思いました。

自分ではやっているつもり。
でも、イメージだけで音に出ていない。現実に表れていない。
でも、現実は違うらしい・・・と気が付けばすぐに変化できます。
しかし、気が付かなければ゛知らぬが仏”。

しかし、きっと普段の生活からも ゛こうしているつもり”、゛こう伝えたつもり”、という“つもり”でも現実は違うことも多々あるかもしれません。

普通の出来事であれば゛自分がこう言ったら相手はどう思うのか”など相手の立場に立って考えたりすると少し客観的に見えますが、゛音”はまさにその場で生まれて消えていくわけで、その前にもその後にも変えられなく、゛その時”の自分の判断がとても大事ですね。

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パリ、サンスルピス教会。ダ・ビンチコードにも出てきますが、女優のカトリーヌ・ドヌーブもこの近所にお住いとか。(内容と全然関係ないですが)

自分が焦ればテンポも呼吸も早くなり、客観的に見えなくなる。普段では早くて弾けないテンポでもなぜか指が勝手に回っていってします。
きっと前のめりになって歩いている人みたいに?弾いてるのでしょうか?想像すると可笑しいですが。

ので、ちょっと落ち着けるところは、ふと冷静になる為に姿勢をちょっと後ろに持って行ってもう少し空間を感じれるようにしたりしますが、それもつかの間だったりして・・・(苦笑)

本当にまだまだ修行ですね。
でも、こうして多くの名曲に触れられるのは大きな喜びですが、これは終わってから言えること?

(弾きたい曲)だったはずが、いつの間にかすごいプレッシャーで(弾かないといけない)と思ってたりします。
そうするといい音も出ないですよね。

録音を聞いても自分が迷いながら弾いている音、本番だからいい意味であきらめてLet`s Go!みたいな時は何だか流れでうまくいったり、不思議ですね。

だから、精神状態も本当に鏡のように゛音”に出ますね、
ということで、反省モードでした。(笑)

来週は2時間のピアノリサイタル、その後は再びチェンバロでオーケストラとドイツツアーに行く予定です。
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今日は、日帰りでまたもやブリュッセルに行ってシューベルトのピアノトリオのリハーサルをしてきました。
今週の木曜日に本番なのですが、なかなかの大曲!

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何と4楽章通すだけで50分もかかるんです。繰り返しなしで!

1827年にシューベルトがプライベートコンサート(友人の結婚の為に書いたらしいです)で初演した模様をシューベルトの友人が後日、日記に書いているのですが 
*とても長い・・・・のでカットの必然性も出てくるかも・・・と書いてあります。*

シューベルトは、テーマを演奏者がどのように演奏するか、テンポや全体のバランスにもよってカットは必要、必要でない場合もある・・・と書いています。

ちょうどこの年、出版社に何か曲を出版しませんか?というオファーに対してシューベルトがこの曲を送ったのですが、このトリオだけ断られた!
ということから2番目に送った出版社から初版が出版されて、当時では大量の1100部が刷られて大変好評だったということです。

今でも、モダンの楽譜ではヘンレ版はすでに省略済みのヴァージョンで、ベーレンライターだとここから*省略*とマークと記載されているので演奏者が自分の判断で選べます。

それにしてもこんなに長い室内楽曲は・・・他に多分チャイコフスキーの偉大なる芸術家の為の・・・くらいでしょうか。シューベルトのピアノクインテット*ます*も結構長いですね。
でも、音楽的に深いというか掴みにくい!

そして転調がまるで予期しない所に飛んでいく!ので油断禁物。ピアノパートはむちゃくちゃ!難しいです。(私にとって)

チェンバリストにとってこの曲を弾くのは・・・そうですねえ。ハードルをやってた人が棒高跳びに挑戦するような・・・そんな気分でしょうか。(苦笑)でも、やるならやっちゃえ!とまあ一生に1回かもしれませんが、シューベルト時代のピアノで演奏させて頂きます。
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ピアニストの内田光子は、*死ぬ前に聞くならシューベルトがいい・・・*とおっしゃってましたね。あんなに素晴らしいモーツァルト弾きの方でも最後に聞きたいのは心から愛してるシューベルトなのだそうです。

フォルテピアノで演奏する際には、楽器がもうすでに決まっている場合(限定される場合)、その時代に合った曲を選んで演奏します。

または、その逆。こういうレパートリーを演奏したいからこのフォルテピアノが必要・・・となります。

どっちも贅沢な話ですが、チェンバロが1750年くらいまで栄えて、フォルテピアノ(強弱が表現できるようになり)モーツァルトやハイドン、すでにバッハの子供たちの世代もこの*新しい*発明されたばかりの鍵盤楽器の為にチェンバロ曲とは全く作風の違うソナタなどを作曲し始めました。

モーツァルト時代~現代のピアノまで、まるで馬車~スポーツカーに変化するくらいの段階を経ています。
その為、モーツァルト、ベートーベン初期までは同じピアノでもベートーベン中期からは鍵盤が足りない!為、もうちょっと後記のピアノが必要です。

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イギリス製ブロードウッド1794年。後に6オクターブ半を開発した際に数か月かけてロンドンからウイーンに居るベートーベンにプレゼントをして触発され新しい作風のソナタを作曲した。

そして、シューベルト、メンデルスゾーンのウイーン系の楽器と同じ時代にイギリス、フランスでもそれぞれのピアノが発明され、ショパンやデュセック、クレメンティなどピアノに触発されながら自分の音楽のスタイルを築いていきました。

これらのピアノで実際にそれぞれピッタリの作曲家の曲を弾くと、やはり楽器からとても多くのことを教えてもらいます。アメリカにも60台くらい古いピアノを集めて修復し、自宅に博物館まで作ってしまった御夫婦はコンサートなども企画していますが、もうそれはそれは考えられない贅沢!!
リストはこれ、ブラームスはあっち、ショパンはあのピアノ・・・と1人1人弾き分けれるほど楽器がありました。

私は感覚人間なので本を読んでも頭に入らないのですが、*百聞は一見にしかず*とはまさにこのことで、
弾くと*音*を通して自分の感覚が色々なものを感じて、タッチやイマジネーションも普段とは全く違うインスピレーションを貰ったりします。

これは、オリジナルの350年前のチェンバロを弾いてもそうですが、もうその歴史というか、数世紀隔てて今も*音*という振動を鳴らす木の楽器ですから、ゾゾ~~~~~っと鳥肌の立つような低音だったり、本当に音は小さくても心に響くような、今まで聞いたことのないような、自分の*知っている*音のイメージを根本から覆すような・・・・音に出会ったりします。

それはやっぱり現在の楽器製作者の方が一生懸命、、昔の楽器を研究して作るのですが新しい音がします。木も乾燥していないと鳴らないのでヨーロッパの製作者は17,18世紀の古い建物が壊されたりすると、すごい勢いで*木*を探しに行くみたいです。そうして集めた貴重な(17世紀の木)を使ってチェンバロの音の要である響板に使用したりします。やはり、それは1年前に倒した木を業務用ドライヤーみたいなのを使用して無理やり乾燥して完成するチェンバロとの音は違うわけです。

木はずっと呼吸をしていますから、季節でも収縮が変化します。

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数年前にお伺いしたノルマンデイーのシャトーに住んでいらっしゃるコレクター兼チェンバリストの方のお宅には、有名な世界に3台しか現存しないチェンバロの1台をお持ちですが、その他にも本当に貴重な楽器があります。

17、18世紀にヨーロッパで流行した*シンノワズリ*(中国風の模様)はベルサイユ宮殿でも東方への憧れや、そんなに遠くの国のものを持っているという一種の富の象徴でした。

このコレクターの方のお持ちの小さなスピネット(長方形の小さな鍵盤楽器)が置かれている部屋は、なんと壁紙もシンノワズリ!! 御部屋のインテリアも楽器に合わせているなんて!と驚嘆したのを覚えています。

来週は、ブリュッセルの楽器博物館のショパンの愛したプレイエルという素晴らしい名器(1843年)でショパンのソナタやフランクのヴァイオリンソナタのリサイタルがあるので、また5日ほどブリュッセルに行ってこもって練習です。

でも、こういった素晴らしい楽器に触れられるのは本当に素晴らしいインスピレーションの源なので、どこでも何のその~~~っとオタクな人たちは(私はまだまだです。笑)飛んでいきます。

予定よりかなり長くなってしまいましたが・・・
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バラの季節になりました!大好きなバラ園があるのですが、お天気が良かったので近所の公園のバラセクションをお散歩してきました。

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ちょうど、日本からパリに遊びに来た友人がセーヌ川沿いのブキニスト(トタン屋根で昼間だけおじさん達がロッカーを開けるようにして古本や絵などを売っている)で4枚のバラの絵を買ったけれど、もう2枚欲しいので・・・と言われて見に行ったアンテイーク風のバラの絵と重ねてみると何となく似たようなバラが今も普通に咲いているようです。

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野バラ系でしょうか。

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気持ちの良いお天気で家族でピクニック!

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毎年こぼれそうな大粒のバラのアーチが見事です。

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ジャスミンの花のような形の野花も満開!

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ラベンダーもつくしのようにニョキニョキと元気に伸びてきて6,7月に満開でしょうか。

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ブリュッセルでフォルテピアノのリサイタルが無事に終了して、へとへとになって帰ってきて翌朝から2日後のチェンバロのコンサートのリハーサル。

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2年前から一緒に弾いているヴァイオリンとガンバの友人となので気が和む。
9時半から・・・と言ってもみんな起きるのに大変、私も部屋を片付けて調律して朝ごはん食べたばかり・・・というので3人揃うと、まず*何のお茶?*と言って日本茶を飲んだりする。

このトリオでは来月と7月にもコンサートがあるので一番大事な7月の南仏でのコンサート前に本番を入れて予行練習のつもりでやればいいじゃない?ということで今回もやることになった。

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御茶を飲みながら、最近どう?元気?と話し始めると2人ともコンサート前日、当日は全く別のプログラムで録音があるという・・・私は何もないから大丈夫だけれど。

何だかみんなあっち、こっち、このアンサンブルと弾いて移動して、こっちで弾いて・・・と言っている。
ガンバのパスカルは3人も子供がいるのに、一体どうやってオーガナイズしているのだろうか・・・

まあ、そんなこんなでリハーサルを2日続けて直前にやって、コンサート当日ヴェルサイユ市へ。
パリから郊外電車で25分。家から1時間弱で着いてしまう。
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電車の切符を買う時に、ヴェルサイユまで。というと月曜日はシャトーはお休みよ。とおばさんがわざわざ教えてくれた。日本人=観光客と思われたらしいが、フランス人でここまで親切な人はめずらしい!

直前のリハーサルはばたばたとして、でもカフェをしよう・・・と散歩に行く。これフランス人。
本当は練習しないといけないのでは?!と思いながらもこんな感じ。

本番はやっぱり3人があまりに忙しすぎて集中できない感じだった。まだバラバラな感じで課題は多い。
今回の演奏を聞いて3週間後にあるコンサートでもっと緻密なリハーサルをしないと音に出ている感じがする。
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アンサンブルは自分が弾くだけでなく、聞けるゆとりがないと、何となく空気がまとまらない。
私も大きな本番が終わって気が抜けていたせいか、まだまだ・・・という演奏で反省。

ということで、まだまだ練習!(苦笑)
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パリーブリュッセルは高速タリス列車でたったの1時間20分!国境が県境みたいです。菜の花畑が見えると黄色い田園風景が続きます

ハイドンのシンフォニーが終わった後、先週は月曜から金曜までずっとブリュッセルに居ました。

金曜日にフォルテピアノでのリサイタルがあり、楽器に慣れるのも兼ねてパリに戻らずに毎日ピアノ漬けの日でした。

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ガラスのアンテイーク屋。余談ですが、こういう風にガラスが並んでいると地震があったら大変!と考えてしまうのは日本人・・ですね。

ハイドンを弾いてた週はずっとチェンバロで、ピアノも練習したくても練習する時間がない、コンサート、録音のある日は朝から4,5回に及ぶチェンバロの調律も間にあって神経をとても使います。

そして、教会だったせいもあって温度が低い為狂いやすいです。
コンサート時に使う強いライトが直接チェンバロに当たると10分も弾いてれば調律が狂ってくる・・・・というので休憩の間にまた調律・・・と休みなし。

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ブリュッセルやオランダはよく暗いこれから嵐がきそうな・・・というレンブラントの絵に出てきそうな空をよく見ます。

幸いオーケストラの場合は楽器を借りているのでいいけれど、大事なコンサートは自分のチェンバロを家から運んでいるから勿論コンサート後も運搬しないといけないし、部屋も引っ越しの様にぐっちゃぐちゃ!になってしまう・・・・

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Mozart時代の5オクターブ半のコピー

そんなこんなで月曜日にオーケストラの後にパリから電車でブリュッセルに行き、 *さあ~~ピアノだ*と思っても指がまだチェンバロタッチ。
弾いてもピンとこない。体の中にも音楽が奥から感じれない。楽譜もまだ頭に入りきっていない。

・・・・・・・うむ。

だからといって弾き続けて体がバリバリになってしまうのも本番前だから良くないしなあ・・・と過去の失敗から思う。
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ペダルはまた足で踏む構造が発明されていなかったので膝のぼこっと出っ張ってる2カ所を持ち上げるんです。足が短い私は足台を使わないと、吊りそうになります!
ということで4日間のペースを考えてメニューを考える。何となく。

1日目 通して今どういう状態がつかむ。チェンバロからピアノへのタッチ、メンタルの切り替え。
2日目全体像をつかむ。録音してまだ下手な部分をチェック。音楽的にまだ浅い部分を取り上げて練習。
3日目テンポの関係、音質、テーマの部分など曲の構成を再確認。
4日目テンポで曲の最後の部分が3曲とも詰めが甘かった為集中的に練習。

この4日間の間毎日、友人や知り合いに *ちょっと聞いてもらえる?*とお願いして音楽家同志なのでヴァイオリンやチェロ、歌の人にも聞いてもらいました。
毎回、練習では大丈夫なのに緊張するとぼろぼろ・・と間違えたり、ちょっと気を抜くとすこん!と間違える!悲しいが現実!!(苦笑)

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これは、ベートーベン、メンデルスゾーン、シューベルト時代のもっと後期のウイーン式ピアノのコピー楽器。

ベートーベンのOp.110、メンデルスゾーンの厳格なるヴァリエーション、C.P.E バッハ(J.Sバッハの次男)フォリアのヴァリエーションの3曲を演奏しました。

ベートーベンも初期のソナタと違って後期3大ソナタの1曲で、すでに彼が聴力を失い、持っていたピアノ(ウイーン製のグラーフ、かなり頑丈な大きなピアノ)に耳をあてて、脳に伝わる振動音を聞いて作曲されたと言われるので、精神性がとても深い曲。最終楽章は、第9のようにフーガでテーマが次々と現れ最後はスケールの大きな盛り上がりへと通じます。

ちょうど、オーケストラの中でホルンやオーボエ、コントラバス、ヴァイオリンの横で弾いてたせいもあり、色々な楽器のイメージが自然に聞こえてくるのは良い経験だったなと思いました。
ピアノだけで練習しているとなかなか実際にオーケストラの楽器をイメージしにくい場合もあるので。

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2台のタッチ、音色、ペダル全て違うのですぐに弾き分けないといけません。黒い普通のピアノからすると右のピアノのタッチは5分の1くらい、左も3分の1くらいの軽さでしょうか。今のピアノは鍵盤を触ってハンマーが実際に弦を叩くまで13工程もかかるそうですが、まだこの2つは直接ハンマーを叩くシンプルな1工程の構造なので、とても繊細です。

メンデルスゾーンはバッハを深く尊敬して、実はバッハの死後埋もれていて多くの名曲、マタイ受難曲などもメンデルスゾーンのお陰でロマン派の時代に再びバッハの音楽が盛んに演奏されるようになりました。
メンデルスゾーンがいなかったら、今バッハがここまで有名ではないかもしれない・・・

カール・フィリップ・エマニュエル バッハは、バッハの数多い子供(13人以上だったか・・・)の中でも特に優秀でプロイセンの王様の宮廷音楽家として使えました。

お父さんのバッハもわざわざ足を運び、王様が提案したテーマをもとにその場でとても複雑、難解なフーガをいくつも披露したことで有名。のちにJ.Sバッハがきちんと楽譜に書きなおしたものが*音楽の捧げもの*。
プロテスタントとして生涯自分の音楽を神に捧げ続けたバッハの晩年の大作です。

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練習の合間にサブロン教会にお散歩

次男のカール・フィリップの作風はちょっとやんちゃな!斬新的なハーモニーやメロデイー、アイデアで今もバロックの演奏家の間で多く演奏されています。

ということで、どこかでやはり作曲家同志が通じているような気がしてならない。ベートーベンのこのソナタのフーガのメロデイーもJ.S バッハのマタイ受難曲のキリストが息絶える前の最後のアリアと同じメロデイーなんだよ。と歌の子が教えてくれた。ヴァイオリンの子もそうそう。と弾いたことがあるのでうなずく。

へ~~そうなんだ~~と新鮮なアイデアに妙に納得。

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歌の子はベートーベンも自分の最後のソナタと思ってこのメロデイーを選んだの?これは最後の曲?と聞かれたのでもう1曲後に書いたけれど、そういう心境だったのかもね。。。と話していました。

ヨーロッパの人達は自然に聖書やギリシャ神話など色々な話と道を歩いていて見かける彫刻などが結びつく。私は、詳しくないので聖書のどの登場人物か・・・それがどういう意味をあらわすのか・・・よく分からないのですが・・・

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修復が終わったばかりなので右の彫刻は白っぽくきれいですね。

でも、こうやって曲や絵画、彫刻や教会の小さなモチーフでも、ああこれはあのシンボル、これはこの場面・・とみんな指をさしたり、うなずいていることが多いです。

話がずれたけれど、練習の合間にすぐ横にあるきれいなサブロン教会に行ってみました。
きれいなステンドグラス。そして入口にあった天使の彫刻・・・などなど、細部はきりがないです。

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音楽も、バロック音楽をやる人はモダン(普通のピアノやバイオリン)とどう違うかというと、全体像だけを見るのではなく、まさしくこういう教会の細部の彫刻を見るように、楽譜を見る傾向が多いと思います。

このメロデイーは上行してるのに、2回目は下降している。どういう転調をしているのか、ハーモニーの色がどう変化しているのか、音楽の骨組であるバス(低音)の持つ支え、和音、自然の流れを見ます。

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そこに自分の考えを押しつけるのではなく、もうすでにハーモニーの中にある*色*を感じてそのまま表現するだけ。
そこにエゴイスト的な自分の意見はあまり押し付けません。
なぜなら、すでに作曲家の表現したいことが楽譜の奥に全て書かれているからそれを汲み取るだけ。

そんな考えを持っている人が多いのではないかと思います。
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勿論、音楽は1人1人自由な考え、見方、表現方法ができるから素晴らしいのですが、趣味、趣向は一言に*素晴らしい音楽家*と言っても違ったりすると思います。

私は、日本でみっちり音楽教育を受けたが正直自分にピッタリくるような音楽への向い方が見つからなかったように思います。
周りを見れば登竜門と言われるコンクール、リサイタルなどをどんどんこなして有名になっていくことが成功の唯一の道のように見えました。

しかし、そこにハマらない自分が居ました。
自分に合う音楽って何だろう?

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そんな疑問を持ちながら、本能に任せてピアノ、チェンバロ、そしてフォルテピアノに移り変わる中で色々な音楽感を見ました。
そして、やっぱり自由。自分の思った価値観で音楽を自然にしていけばいいのかな・・と思い、今の自分がいるのでしょうか。

だから、チェンバロとフォルテピアノを弾いているのは英語とフランス語を話すような感じかもしれないですね。似ているけど違う部分もきちんと区別しないといけない。
でも、表現したいと思う心は自分から発しているので楽器や言葉は手段に過ぎないかもしれない。

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かなり話が脱線してしまったけれど、ピアノを20年、チェンバロを10年そして今再びフォルテピアノを通して作曲家の見ていた、聞いていた*音*に近い世界を感じながら改めてピアノ曲に触れられるのは大きな喜びです。

勿論、チェンバロの方が17-18世紀と時代が早い為、音楽もシンプルで音が少ないのでテクニック的にはあまり難しくないけれど、その分音楽性や間の使い方が大事になります。楽譜からどれだけ作曲家の意図をくみ取るかという視点がとても大事です。

そしてこの2年自分でも*リハビリ*と称して再び1からやり直した気分でピアノに向かい始めました。本当に8年さぼった漬けは大きかったです!!!一番正直なのは体で、指や腕、肩が始めは1時間以上重い鍵盤を弾くだけで悲鳴を上げてました。だから2時間以上は続けて練習できなかったですが、少しずつ慣れてきました。

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ミサの最中でした。

ピアニストやヴァイオリニストや水泳やアスリートの人たちみたいに肉体的に毎日きちんとトレーニングしていないと筋肉がすぐに鈍ったり衰えるし、ましてや8年休んでいた私の手はすっかりピアノで鍛えた20年の筋肉はきれいになくなっていました。指輪のサイズも2つくらい小さくなったのではないでしょうか。ピアノの時にパンパンで入らなかった指輪は今はくるくると回ってしまいます。

しかし、筋肉を使う弾き方ではチェンバロは弾けません。余計な力が一切必要いらないから。
その為、あえてピアノの癖を抜く為にチェンバロのみに集中しました。

今、再び両方の楽器をサンドイッチの様に交互にこの2ヵ月弾いているが、まだ切り替えるのに1日ほど時間が必要だけれど、こなせるようになってきました。

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3ヶ国語話すように行き来すればすれほど慣れる・・・
とアメリカの先生が言っていた。彼は5つの鍵盤楽器を演奏できるので、以前にどうしたらできるの?と聞いたことがあったので。

そんなこんなで、結局先週のフォルテピアノのリサイタルは精神的にはかなりキツイ状況だったけれど、とても集中して自分の深い部分を見て演奏できた気がします。

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どう聞こえたか・・・というのは、客観的に分からないけれど、聞いていた人が演奏家はどんな時でも、舞台に上がったら楽器の前に座って、100%自分が音楽に向かってなければいけない。と

その意味で彼は私が前後凄い忙しくて今回はピアノだけに用意できなかったのを知って、本番の集中力は最後まで持続していたし、精神的に崖っぷちの方がけいは、精神的に深いところから表現がでるかもね?!
と言われましたが、弾いてたこっちは必死ではっきり言って音楽以外考えられない状態でした。

それがいいのか悪いのか別として、良い緊張感として出る場合もあるし、勿論*ゆとり*があるにこしたことはないと思いますけれど。

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おいしそうな手作りお惣菜屋さん

来週はまたシューベルトのピアノトリオと6月4日は楽器博物館でモーツァルトのファンタジー、ソナタとショパンのソナタ2番、そしてヴァイオリンのフランクのソナタを演奏です。

2台使用するのだが、ショパンとフランクを弾くピアノはオリジナルのアンテイークピアノのプレイエル1843年。先週、楽器博物館で練習させてもらったが、何とつやのある素晴らしい音!

まるでピアノのストラディヴァリウスみたい・・・と思ってしまった。
ヴァイオリンの子もpp(弱音)でも本当に音色の変化が出るピアノだねえ。と言っていた。彼女もピアノに触発されてもっと自由に色々な表現ができそう・・・と言っていたのでどうなるか楽しみです。

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帰りの電車で食べる御手製ケーキを買ってパリへ

6月の2回目のこのリサイタルが終わったら一息できるがその後はまたオーケストラでドイツツアーに行く予定。グルッグやヘンデルのアリアなど歌手と。
ビュルツブルグWurzburgというモーツァルトが幸せだった頃に過ごした中世の町らしいです。楽しみです。

では、長くなってしまいましたが、また。
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皆様大変ご無沙汰しております。すっかりブログ無精・・・というのでしょうか、更新ができなくてすみません。

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Le Mans内にあるL`epau修道院にホテルから行く途中の風景。右の木の下で釣りをしている人がいます。

この3週間は猛烈な勢いで色々なことがあり、まるで台風の中にいるような・・・といっても大げさではないのですが。やっと一昨日ヴェルサイユでコンサートが終わりほっと一息しています。来週からまた3週間は嵐の始まり?です。

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2週間前はリサーチ、写譜をしないといけなくてまる4日間椅子にに座ってせっせと楽譜を書き・・・コピーをすれば2秒で済むものですが1楽章だけで8時間ほども時間が経っていました・・・

1794年に出版された初版譜の間違いを訂正して2つある別々のピアノパートを2台ピアノ用に1つの楽譜に書いていた為、出版されていないので自分で書くしかありません。

その為、新たに書き直しながら昔の人たちがいかに1音1音書くのが大変だったか・・・
そこに意味が込められているのか・・・と感じました。
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その翌週は秋にも一緒に演奏したオーケストラ Les Sieclesのハイドン公演の為パリ郊外でリハーサル、そしてパリから1時間TGVに乗ったところにある素敵なMansという町にあるL`epauという修道院(貴重な歴史建造物として認定されているそうです)でリハーサル、コンサートの為3日移動しました。

この修道院では年に何回かクラシックやJazzなど音楽祭を企画して多くの音楽家を呼びお客さんもわざわざ車で見に来ます。私が到着した日はフランスバロックの素晴らしい音楽家、クリストフ・コワンやコンセルト・スピリチュエルのコンサートもあったのですが、残念ながらリハーサルがあって泣く泣く聞けませんでした。
詳細はここ Festival de L`Epau

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今回は、ハイドンの初期シンフォニーから 朝、夜、別れの3つの名曲に、チェロ協奏曲(ラファエル・ピドゥーソリスト)、ホルン協奏曲&トランペット協奏曲(共に1人の若い才能あるダビット・ゲリエールさんソリスト)を迎えて2つのプログラムに分けてコンサートがありました。

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ラファエルとは室内楽のアンサンブルPrometheusでも共演している顔なじみなので、修道院でのオーケストラとのコンサート前日リハーサル前に2回チェンバロのみでリハーサルをしました。
オーケストラは大体2、3回くらいのリハーサルで本番ですが、ソリストはオーケストラのみの練習後に直前のみ1回のリハーサルのみですぐ本番ということも多いのではないでしょうか。

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勿論、ソリストはその曲を弾くためにわざわざ呼ばれるわけですから、プロ中のプロな分けで1回の合わせで指揮者のテンポ感が違う場合は指示したり、もっとここは歌いたいからタイミングを取って・・・とか、カデンツァ(ソリストの見せ場ですが、みんな自分の作曲したオリジナルのカデンツァや、すでに作曲家によって書かれたカデンツァからアイデアを貰って自分でもじったり・・・など)の始めと終わり、オーケストラとのタイミングなどを限られた時間内でこなしていきます。

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リハーサル風景

今回、修道院でのリハーサル前日にラファエルとリハーサルをした後、*じゃあ明日11時の電車で!*と言って別れました。
そうか・・・11時。

と思いゆとりを持って準備をしていたら、10時2分前に電話がかかってきました。出ると、私の電車のチケットを持っているホルン奏者から。

+どこに居るの?+
*電車11時だから家だよ。どうして?*

+え~~~~電車10時発だよ!?+
*え‘‘‘‘‘‘‘‘‘‘~~~~~*

ということで、私は自分の電車が10時と確認ミスをして乗り遅れてしまいました。

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幸い毎時間出発している近郊の町だったのですが、・電車のカフェに行くと丁度ラファエルが居て
*乗り遅れたの?日本人なのにめずらしいね?(よく日本に演奏しに行き日本のオーガナイズの良さを知っている為)*と茶化されましたね・・・

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でも、偶然取った席には日本人のご家族がロンドンからモン・サンミッシェルに行く途中ということでご一緒して、音楽もお好きとのことで楽しい時間を過ごすことができました。これも偶然。フランス人ばかりの20列車ほどある電車で日本人4人が同じ席になるなんて。

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11-15世紀ごろまで井戸だった場所でしょうか・・

到着後、なんと8時間リハーサルが待っているとは・・・知らず・・・
そしてリハーサル中に*明日はMezzo(フランスの芸術系テレビチャンネル)の録画があるから。*

え~~~。そんなの聞いてないよ・・・

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心を引き締めてレコーデイング!

よりによって今回オーケストラが借りたチェンバロはボロボロの可愛そうな、誰もきちんとケアをしていないような上鍵盤のタッチは硬すぎて、弾きたいタイミングに鍵盤が落ちない為、ピアニッシモのデリケートな時に全然使えないのでとても不便でしたがどうにかしましたが・・・

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コンサートは教会で行われましたが、あまりに天井が高すぎて音がエコーしてしまい、指揮者の降るタイミングとソリストが弾いてる音が0.5秒くらいタイミングが異なる為、始めは慣れるのに時間がかかりました。

ということで、翌日も朝コンサート、午後録画、夜コンサート+録画と盛りだくさんで、勿論その後は会話好きなフランス人は夜中までワイングラスを片手に話し込むわけです。

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修道院ないの別のコンサート会場に使用した天井はすべて木造!素晴らしい響きでした。

でも、私は翌日パリに戻り開けたスーツケースに5日分の洋服を入れ替えてブリュッセルにいかないといけなかった為早めに寝ましたね。
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11世紀に建てられたというコンサートが行われた教会。

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とてもおいしいフランス家庭風料理を頂いた食堂の天井はよく見ると穴というかクッキーを焼く時にフォークで刺すような跡がついていたりして・・・聞いたら15世紀に作られた・・ということでまあ何とも贅沢!

幸い、大変素敵な自然一杯の環境だった為、コンサートの間にお散歩をしたりして、心が和みました。
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ドアの入口には色々な言葉が記されています。

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教会内の彫刻。今回面白い演出があったのですが、コンサート最後の曲*Adiuex お別れ*の最終楽章はオーケストラ全員で弾き始めますが、段々とオーボエが終わり、ホルンが終わり、コントラバスが終わり・・・とパートが減っていきます。今回は、TVの収録も会った為、では実際に弾くパートがなくなった人から静かにステージから去っていく・・・・1人去り、また2人、5人、10人・・・・そして最後にヴァイオリニスト2人を残して指揮者も去っていく・・・という演出があり、私がちょうどステージの横に引っこんで終わるのを待っている時、この彫刻の前でした。何世紀からあるのでしょう?

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このコンサートの前はストレスで一杯!だったのですが、こんなに素敵な場所に来れたという幸せも一杯貰い、充実した3日を過ごしてきました。

そしてその翌週は5日間みっちりのフォルテピアノの日々でした・・・長くなりましたので続きは次回に。
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