今日は、保谷市にある、約600人が入るこもれびホールにて、カウンターテナーの青木 洋也さんとのコンサートで演奏しました。

1時間の短いプログラムでしたが、始めの20分はチェンバロでヴィヴァルディのモテットを青木さん他ヴェイオリン、ヴィオラ、チェロの計6人のアンサンブルで演奏しました。

そして、チェンバロの位置にピアノを置き換えてすぐに、ピアノで武満 徹の歌曲8曲を演奏するという、楽器の持ち替え(とヴァイオリニストは言いますが、鍵盤楽器では、弾き換え?!とでもいうのでしょうか)をしました。

d0070113_429112.jpg


やはり、チェンバロのタッチは非常に繊細で数ミリの鍵盤が降りる感覚を感じながら演奏するのですが、ピアノは、チェンバロの鍵盤よりも4~5ミリ深い為、音を出すタイミングが全然違います。

また、ペダルがあるのも大きな違いではないでしょうか。
チェンバロには、ペダルがない為、指をできるだけ鍵盤に残して、音の響きを増やしてペダルのような効果を生み出すことができます。

逆に、ピアノはただ普通に弾いても、ペダルを踏めば、チェンバロよりも遥かに長い音を持続させることがあります。

しかし、何よりも弾く時の体の使い方が大きく異なります。
チェンバロは、指先以外の体の動きは一切必要ないく、叩けば叩くほど汚い音が出ます。しかし、ピアノは、楽器の持つ豊かな響きを無理なく響かせてあげる必要があり、その為には腕や背中、そして、腰に意識をして演奏したりします。

言葉で説明すると、複雑そうですが、要するにチェンバロとピアノを弾く感覚は、大きく異なるもので、それは、英語を話した直後にフランス語を話したりするのと似ているかもしれません。

1つの楽器を演奏するだけよりも、多くのことを考えなければいけんませんでしたが、とても良い経験になりました。

これからも、チェンバロだけでなく、他のフォルテピアノやピアノも機会があれば演奏していきたいと思います。

また、青木さん以外にも一緒に演奏させて頂いた音楽家の方たちとの交流も楽しく、貴重な経験となりました。
                        
[PR]
12時間のフライトを経て、日本に帰ってきました。

d0070113_0383298.jpg


ふと目が覚めて、外を見ると真っ青な空が!

成田に着く1時間くらい前だったのですが、富士山も遠くに見えて(写真では、ほぼ見えませんが)いつ、どこから見てもいいですね。
d0070113_039128.jpg

やっぱり日本人だなあ。と思います。

とにかく、気持ちの良い、秋晴れで、もう既に冬のようなどんよりとした、空になり始めたパリから、また再び秋に舞い戻ったようで、嬉しいです。
d0070113_0391585.jpg

来週から、7時間におよぶリハーサルが続きますが、日本に帰ってこれるというのは、嬉しいですね。

今回は、多くの音楽家の方と一緒に弾かせて頂くので、楽しみです。
[PR]
散歩するにはちょうど良い、オデオン界隈に好きなアーケードがある。

d0070113_5543565.jpg


何でも、パリで一番古いらしい。今でも、素敵なジュエリーショップ、クレープ屋さん、そして1900年から続いている、ブラッセリーがある。

d0070113_5545960.jpg


入り口には、アールヌーヴォー調の装飾がなされ、石畳も何だか、がたがたしているのだが、それがまた歴史を感じさせる。

d0070113_5551547.jpg

11月半ばになり、パリもクリスマスに向けて街が華やいできた。パリの人達も、きれいに飾られたショーウインドウに足を止めている。
[PR]
チェンバロは、1台1台全て鍵盤の1つ1つから、ケース、蓋、そして装飾に至るまで、全て手仕事である。

d0070113_6242828.jpg
1636年のベルギーの有名なチェンバロ製作者アンドレアス・ルッカース\チェンバロの響板

現代の多くのチェンバロ製作者も、250年ー300年前のアンティークのチェンバロのモデル、長さ、木組みなど、ミリメートルに至るところまで、研究しつくして、かつての名器の音を現代に蘇らせようと、絶えず改良している。

結局は、その製作者の腕のほかに、どんな音を良い音と聞くかの、*耳*とセンスがとても重要になってくると思う。

d0070113_6263825.jpg
アンドレアス・ルッカースのチェンバロ

その製作者自身が、昔の数多くの名器の音を知っていれば知っているほど、様々な*良い音*また、現代には失われた音を感じ取れる感受性が発達すると思う。そして、それらの経験はその製作者の楽器の*音*に大きな影響を及ばすと思う。

演奏家も同様で、できるだけ名器の*音*は知っていたほうが、それだけ自分の音の世界が広がるし、奥深くなるので、機会がある度に、見に行きたいと思っている。

先週は、2回もパリの楽器博物館で、1761年のヘムシュ(フランス製)1646年のルッカース(ベルギー製)1652年のクーシェ(ベルギー製)により、バッハのコンサートがあり、こんなコンサートが行われるのも、ここパリならではと圧巻であった。

普段、静かに展示されている楽器を実際に350年以上の歳月を経て、奏でられると言うのは、やはり驚きである。
d0070113_63144.jpg
1640年ルッカースチェンバロ

現在、私もドイツの製作者にチェンバロを作ってもらっている最中だが、やっと、ケースと響板、そして蓋がついた時点で、来月にもパリへ運ばれてきて、装飾を始める。

チェンバロの装飾を20年も手がけ、その他にも、アンティークの家具や、宮殿の金箔の壁を修復し直したりしている、大変素敵な絵を描く方に出会った。

そのシャルルさん曰く、色も音楽のように、ハーモニー(調和)が大事だと。

ただ単に、水色や緑色を描くのではなく、花1つを描くにも、バランスが大事と。自然に咲いているバラ1つを描くにも、ただピンクを描くのではなく、微妙な色使いが全てを変えてしまうと。

d0070113_6323456.jpg

そんなシャルルさんは、色々な素敵なデザインのチェンバロを考案して、その写真を見せてもらったが、どうやら、描く時は、どこからか、そのモチーフのアイデアがふ~っと浮かんでくるらしい。

打ち合わせの時点では、どのような色やモチーフでとか、細部まで考えるらしいが、その後、一度その案を寝かせて、何かを見たときに、ふとアイデアが浮かんでくるという。

また、1ライン描き始めただけで、違う!と瞬時に感じる時は、時間の無駄と言って、描かないらしい。

d0070113_635318.jpg
シャルルさんの描いた響板のローズの部分

*まるで、音楽のようですね。*と言うと、そうだね。と言っていた。待ち合わせ場所に行ったら、先に着いていたので、待ちましたか?というと、

いや~。僕はいつも見るものが沢山あるから、全然退屈しないんだよ。といって、パレ・ロワイヤルの建築の柱や、コメディー・フランセーズの前の噴水の曲線ラインを指して言った。

彼が、どんな装飾を私のチェンバロにしてくれるのか、今からとても楽しみである。
[PR]
気がついたら、ここヨーロッパでは、すっかり秋から冬の風が吹き始めました。
東京も寒くなったでしょうか。

さて、先週私は、初めてドイツのボンにある、ベートーベンハウスに行ってきました。ここは、実際にベートーベンが生まれ、3年ほど生活した場所がそのまま美術館となり、ベートーベンが使用した楽器などが展示されています。

d0070113_833978.jpg
可愛らしい外観の入り口。

d0070113_842158.jpg
べートーベンハウス。右側の小さな屋根裏部屋でベートーベンが生まれた。

d0070113_881916.jpg
ロダンの弟子の一人がベートーべンの彫刻を制作し、秋模様の中庭に展示されていました。

d0070113_885387.jpg
ベートーベンが亡くなる前まで使用していたウィーン製、1826年のConrad Graf(コンラート グラーフ)のピアノ

d0070113_8103385.jpg
ウィーンのパトロン、Lichnowskyから贈呈された、弦楽器。この楽器と共に、素晴らしい弦楽四重奏曲が作曲された。

d0070113_8134640.jpg
そして、世界中の国の人が知っている名曲、”エリーゼのために”の自筆譜。

今でも、こうして作曲が実際に生活していた空間を大切に保存し、今もコンサートが行われているのは、文化がかけがえのないものとして、いつの時代にもヨーロッパに息付いていることを感じさせられる。
[PR]