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チェンバロ/ Le clavecin

チェンバロの装飾は、昔から、1台1台違っています。
それは、チェンバロの1つ1つの鍵盤を、チェンバロ製作者が木で掘って仕上げ、全て手作りだからです。

17,18世紀は、それこそ素晴らしい絵画がヨーロッパ各地で繁栄した時期なので、それに伴い、チェンバロの装飾も移り変わっています。

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例えば、ルイ15世の時代になると、よくアンティークなどの家具で、猫足の様になっているものがありますが、これは、チェンバロの足にも使われていて、それにより、そのチェンバロが何年代に作られたか、判断する情報源にもなります。

よく、イギリスBBCチャンネルのアンティーク市の中で、家のお宝のお値段を鑑定してもらうコーナーや、日本のTVでもありますが、チェンバロや楽器も、昔の良いものを見ればみるほど、目が肥え、それぞれの製作者の特徴を学ぶと、響板にある残っている跡などから、多くのことが分かります。

そして、現代の製作者は、昔の名器を細かく勉強し、それを忠実にコピーした楽器を作ったり、自分なりに、アレンジして作ったりします。

しかし、たんすやテーブルとは違い、木を組み合わせ、1から作ったものに、最後に弦を張ることで、自分の思いとおりの音、もしくは意外な音質が生み出される瞬間は、醍醐味ではないでしょうか。

昔は、弦を弾く、爪のような部分は、鳥の羽の芯の部分を2ミリほどに薄く切ったものでした。

しかし、現在はプラスチックで代用されたものが多いのですが、やはり贅沢で手間がかかりますが、鳥の羽にすると、なんとも言えぬ、軽やかな、香るような音質が生まれます。

私も、現在ドイツ人のチェンバロ製作者に頼んで、待っている最中ですが、ほぼ本体は出来上がり、装飾をどうするか、考えています。



私のチェンバロのタイプは、この間のリサイタルのプログラムの表紙にも使用した、フランスとドイツ国境のコルマールという美術館に保存されている、フレミッシュ風(ベルギー、オランダ地方で話す、フレミッシュ語圏を指す)のルッカースという有名なチェンバロ製作者のコピーです。

このオリジナルのチェンバロは、とても有名なので、多くの製作者がこぞって、コピーしますが、やはりそれぞれの腕により、出る音は全然違います。

その為、私もアメリカでチェンバロを始め、アムステルダムに住んでいる間、ずっと、自分のタッチと欲しい音に合った楽器を探すのに、何年間も経ちましたが、やっと、自分の納得できる軽いタッチで、音がふわっと広がる楽器に出会い、注文しました。

車やピアノの様に、既にできているものをポンを次の日に家に届けてくれる分けでなく、1から作るわけですから、普通は、注文して、1-5年待ちというのはよくあります。

人気のある制作家で1人で全て作り、年に2台しか作らない場合は、18年待ちという例もあるくらいです!

ので、気長に待つのですが、自分の楽器でコンサートができるのは、まだ少し先になりそうです。そして、素敵な音の楽器になると良いのですが。