クロードのアトリエ/ Chez Claude Merthier

今日は、8月に南仏でお会いした、ベテランのチェンバロ製作者、クロード・メルスィエのアトリエへ行ってきた。

クロードは、78歳のチェンバロの巨匠、ユゲット・ドレイフュスと40年もともに仕事をし、歴史的チェンバリスト、ワンダ・ランドスフスカの楽器も作った、生き字引のような貴重な製作者である。

また、世界で6台しか現存しない、300年前の楽器製作者、ヘムシュの楽器のうち4台は、このクロードが発見し、必要な部分だけを修復して博物館やコレクターに売ったという貴重な証人でもある。

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サン・ジェルマン教会裏とルーブル美術館の間の端から、ノートルダム寺院の方向へパチリ!

彼は、サン・ジェルマン・デ・プレ教会から徒歩5分のセーヌ川寄りの閑静な住宅街にアトリエを構えている。

洒落たアンティーク屋さんや、画廊の並ぶ中に、17世紀、18世紀の楽器である、チェンバロがショーウインドーから見える。

ここは、中国の17世紀のアンティークのお皿を展示していた。当時、ヨーロッパでは、エクゾチックなシノワズリ(Chinoiserie=中国趣味)が大流行していた。>
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はるか彼方の東洋の美術品を所有するというのは、富の象徴でもあり、ヴェルサイユ宮殿でも、1室全て、シノワズリの食器の部屋があるほどだ。

また、チェンバロの装飾の中にも、シノワズリの朱色に中国風の模様が描かれているものも、少なくない。

日本の伊万里焼きなども、大変好まれ、後にセーブル焼きなどが模倣しているが、東洋の繊細さには、適っていない。

クロードのアトリエでは、彼が大事に保管している、アンティークチェンバロを見せてくれた。ケースの外側、そして内側、また弦の張ってある響板にも素晴らしい絵が描かれている。

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これは、1620年ごろにイタリアで作られた、本物のケースに中身をクロードが作ったもの。A beautiful original Italian harpsichord case built around 1620 and Claude-Merthier made the harpsichord inside.

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また、ニコラス・デュモンというフランス人が1704年に作ったフランスモデルのチェンバロ。これは、1780年頃に、鍵盤を足したり、多少、手が加えられたが、それ以来、全てそのままの状態で残っている。/ French double manual harpsichord built by Nicholas Dumont around 1704.Another person added keys(ravalement) later around 1780.The same person also changed the original harpsichord by Blanchet which is at the house of Huguette Dreyfus.

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また、ユゲット・ドレイフュスもアンティークチェンバロを自宅に所有しているが、彼女のチェンバロも、1780年頃に、同じ人物によって、手が加えられているという。

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この様な、生きたチェンバロ、つまり17世紀、18世紀に作られてから、誰の手も加えられていない楽器は、歴史的にも大切な資料として大事に保管されている。the sound board of the french double in 1704

そして、現代のチェンバロ製作者に多大なる情報を与え、コピー楽器を作る上で、重要な資料となる。

こうした楽器が、ふとしたアトリエにあるのも、歴史が続いているパリならではと感じる。

きっと、それは、東京で江戸時代からある、お琴や三味線に出会うのと同じ感じではないかと思う。
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