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ヨーロッパのチェンバリスト達/harpsichordists in Europe

今日は、フランスのチェンバロ界で長老的な存在である、ユゲット・ドレイフュスさんの自宅で、
約230年前の本物(オリジナル)のチェンバロでルイ・クープランとスカルラッティを演奏して、大変貴重なアドヴァイスを頂いた。

基本的にいつも自分で練習を重ねて、曲を仕上げていくが、たまに素晴らしい先人の目や耳、そして経験と知識からアドヴァイスを頂くことも、大変にありがたいことである。

彼女は、それこそバッハ弾きとして有名だが、多くの録音を残し、今フランスで活躍している多くのチェンバリストは彼女と勉強しており、ある意味、一世代を代表する有名な音楽家である。

ユゲットは、白髪のおばあちゃんという感じだが、どこかもう世俗的なことを超越してしまったような、きれいさがある。そして、音楽も一瞬の音たりとも聞き逃さない、鋭い耳で、彼女が弾くと、まるで1つ1つ話しているように、聞こえるのである。

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Gustav Leonhardt at the Oude Kerk in Amsterdam/アムステルダムでのレオンハルト

オランダにも、ユゲットと同年代のチェンバロの巨匠、レオンハルトが今も、運河沿いの素敵な住宅地にお住まいである。

去年の寒い冬の日、自転車に乗っていると、あの巨匠が自宅前で愛車に、やかんに汲んだお湯を掛けているのを見てしまい、目を疑ってしまった。CDのジャケットでしか、お目にかかったことがなかったので、雅かそんな光景を目にするとは・・・・大の車好きとのことで、新車を買うと、喜んで親しい友人に*見に来てよ!*と嬉しそうにお話になるとのこと。

レオンハルトは、いわゆるヨーロッパの人達の表現で言うと、*Blue Blood*ブルー ブラッド=青い血を引いていると言う。貴族や、高貴な家の出身という意味である。

去年、イギリスのヴァージナルの曲のレオンハルトのマスタークラスを受けに、わざわざパリからアムステルダムへ行ったが、素晴らしい時間を過ごした。

本当に立っているだけで、品のある方である。タッチは本当に繊細で、どんな楽器でも彼が弾くと、きれいな音で、自然に音が響く。

そして、実はお話するとウィっトにとんだジョークも言うのである。私が2年間アムステルダムで勉強した、Menno van Delft (メノ ファン デルフト)もレオンハルトの弟子であるが、親しみやすい意味で、*グーフィーはチョコがお好き。*グスタフ=グーフィーなどと話していたものだ。

メノの自宅も玄関のドアを開けると、25メートルほど、白い大理石の対象になった廊下が奥まであり、大変な豪邸である。
レンブラントの自宅が、レンブラントハウスと言って、美術館になっているが、それよりも、相当大きい。目の前には運河が広がるのだが、中庭はとても静かで、庭には数百年の年輪のいちょうの木があり、そこに面したお部屋にはロココ風の装飾の天使が舞っている。

そんな素晴らしい邸宅で行われる、ホームコンサートは、何とも暖かい雰囲気で行われる。
そして、しばしば同じ通りに住む、レオンハルトや奥様が、ひょっこりといらっしゃり、みんなでワインとチーズを休憩に飲みながら、夜が更けるまで音楽を楽しむのである。

そんな時、18世紀の装飾の部屋で、その当時に弾かれていた楽器の音色(チェンバロやクラヴィコード)を、蝋燭の光とともに聞くと、本当にタイム・スリップしてしまった様な錯覚に陥る。

みんな、自分が演奏し終わり、他の人たちと時間を忘れて歓談しても、アムステルダムは未だに、中世の町の大きさで機能しているため、家には遠くても自転車で20分で帰れるのが何とも利点である。

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