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編集/Le montage

さて、CDジャケットの文字はやっと昨日最終校訂をデザインしてくれているパリのKちゃんへ送りほっと一息。4-5時間ず~っと画面を見て、英語、フランス語、日本語の『点』の後の1文字のスペースがあるか、ないか、などなど。。。細かい作業を終えました。

やっと一息と思っていたら、

12月に1か月かかって聞いた350テイクから私の選んだテイクのゴルトベルク変奏曲の2回目の編集:Montageがパリから送られて来ました。

果たして一体?!聞くのが怖い様な、楽しみな様な・・・
ざっと聞いた所、繋ぎ合せたとは全く信じられなくスムースな部分もあれば、違うテイクに変わった時にテンポが明らかに微妙に早くになったり、繰り返しの静寂の『間』が早すぎたり、遅すぎたり。
多分、私も初めての作業で始めは分け分からなかったのであっちもこっちも・・・と選んだものなどは、凄い事になってます!(苦笑)

勉強になったのは、音楽編集=料理の様なもの

素材が良ければ良いに越したことはありませんが、今回素材はレオンハルトに変えれるわけでなく『他に素材ないの?』と聞いても、ない物はない・・・あるもので料理するしかないわけです。

同じ素材を料理するにも2人のシェフが居れば、野菜の切り方、色彩感、どの野菜を組み合わせるか、油をどれくらい入れるか事なり、勿論仕上がるお料理の味も異なるわけです。

そして、ぐちゃぐちゃと謎の煮込み過ぎたシチューの様に音楽をこねくり回しても良い事はない!
みたいです。(笑)自然の流れが一番ですね。

バロック=いびつな真珠 とは良く言ったものだなと思いましたが、すでに自然に存在する真珠のいびつさが美しいとした時代ですね。

あまりに完璧を求めても自然の流れに勝る物はないですね。ライブ感や呼吸感というのは、何にも変え難いものではないでしょうか。

最終的に音にどれくらいの人口の響きを足すか=最後の塩加減で全体の印象がガラッと変わる可能性もあります。

エンジニアが選んだテイクの①ヴァージョン私の選んだテイクの②ヴァージョンを聞き比べると・・・

ほぼ似通った場合はかなり迷います。そういう時はあまり差がないかも知れませんね。
それでも、できるだけ音楽の流れがより自然な方を選びます・・・

逆に ”1個のトリルが気になる。ちょっと遅いかな?”そしてもう1つ聞くと微妙に早く勢いがある。
などなど・・・

全てメモしてトータルでどちらが良いか・・・
ベースは①ヴァージョンだけどトリルは②ヴァージョンを使いたい。

または、明らかにアーテイキュレーションが②ヴァージョンの方が納得いく。

テンポが本当に髪の毛一本位の違いだけれどちょっと遅くなる・・・
多分、他人が聞いたら『どう~~~でもいいでしょ~~~~!』
という事かもしれませんが、そこまで突き詰めます。

12月は1変奏曲(2-4分)につきテイク選びに3-4時間かかったのに比べたら、4時間で8曲チェックできたので、8倍早いので今週末までに全て聞いてメモし、またパリのエンジニアに送り最終チェック。

それでも、散々自分で聞くだけ聞いたので、実際に編集してできあがった自分のヴァージョンとエンジニアのヴァージョンを聞き比べると、明らかに納得いく物と、やはり経験のなさからちぐはぐの物とあること。

ふと頭をよぎったのは、もしかしたらスタイリストさんが『こんなお洋服はあなたに合うと思いますよ』と言われて、自分でしっくり来なくても、周りの人が見たら『似合う』と言われるかもしれません。

自分の知らない可能性をエンジニアが引き出してくれるかもしれないということです。
または、客観視した判断の方が良いかも知れません。

でも勿論彼女の趣味も入るわけで、どこまで演奏家の趣味=主張が尊重されるかというバランスになりますね。

なので、今回はたった一人で納得いくまで聞いて全て決断しています。良い勉強ですね。

多分、家の設計や洋服であれば、全然提案された物で良いと思いますが、(自分の演奏)として、自分の名前で出る=やはり自分に責任があるので納得したものを残したいですね。

曽根麻矢子さんは2回録音していらっしゃいますが、1回目は全部自分で聞いて『死にそうになった~~!』と言っていました。

勿論、素材がレオンハルトだったら良いのですが、そればっかりは・・無理なことで。
ひっくり返っても、逆立ちしても自分は自分というのは、痛いほど身にしみていますね。

凡人だから、地道に亀さんの様に歩いて行くしかないですね。

明日は、4月に企画中のラファエル(チェロ)とのコンサート&マスタークラスの打ち合わせです。
ラファエルもパリでレッスンの合間に
『C`est suprt! trop Fort~~!』とIphoneからメールが来ていました。

コンサートの終わりにワインなども用意できたらお客様達もフランスの雰囲気を楽しめるのではないかと思います。フランスで沢山お世話になったので、一緒に企画できたら嬉しいです。全てGive and Takeですね。