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チェロソナタの録音中/L`ennregistrement

皆さまこんにちは。
日本の猛暑も9月に入り落ち着いてきたでしょうか。

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パリは、すっかり秋模様になり、紅葉&落葉の真っ盛りです。
かと思えば、昨日は真夏の様な30度を超す“夏”の日よりでバカンス帰りの日焼けしたパリジャンも【これを逃すものか!】とばかりに、サマードレスや公園では水着で日焼けする人たちの姿も。

さて、この1カ月ブログを更新し忘れ?ていましたが、実は、生まれて初めて【じんましん】になってしまい、皮膚科へ3つも行き大変でした。

ようやく治まってきましたが、始めは何が何だか分からず、4~5日間連続して夕方~夜になると体が痒くて寝れないほどでした。

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結局、ボストン留学時代~15年来の親友で皮膚科のお医者さんでありながらピアニストの親友Mちゃんとお母様(皮膚科の先生)と国際電話で症状を話して診断してもらったら、単に疲れやストレスからくる【じんましん)では?ということになり、なんだ~~と気がゆるみました。

というのも、イタリアでは伝染病を持つ蚊より小さな【パパタッチョ】という虫が居て、それに刺されたら至急病院へ行かないと大変なことになる・・・とか友人に言われ、実際イタリアで15か所+1か所謎の大きな虫?に刺された後が頭の中にあり、見たくても見えないけど1カ月たってやっと治まってきたくらい腫れていたりしたので。

または、古いホテルのベッドでノミより小さな【寄生虫】で、肌の下まで入りこんで体中をめぐるのが入ったとか?と友達に言われ・・・想像しただけで真っ青!!というか真っ白になりましたね。本当に。

と大騒ぎになり、8月のバカンスでお休みの病院が多い中、救急へ行って4時間待って3分の診断で、これは伝染病でも寄生虫でもないと言われて、ただ薬を出されたり・・・

ぐったり疲れましたね。

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ということで、あっという間に数週間が過ぎてブログもそのまま・・という言い訳ですが

考えてみると本帰国した2月始めからもう7カ月が経ち、実際に本帰国だったはずが3カ月くらいの【プチ帰国】になっていて、結局また約半年コンサートと録音でパリに来ることになり、バタバタと戻ってきた・・・ことなど考えると、この半年【家】が安定していなくジプシーの様にまさに移動しているので、そんな見えないストレスもあるのかな?と気が付き、ゆっくり休むきっかけにもなりました。

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録音場所のPort-Royale des Champs:パリから車で50分ほどのヴェルサイユ宮殿の近く。以前にもコンサートをしている自然豊かな遺跡のある場所です。何と、ルイ15世が宗教の派閥が違うことから修道院を壊してしまったそうです。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、今日からパリの郊外の15世紀の修道院跡にあるドーム型の建物(フランス語でテンプル・お寺と呼びますが日本のお寺とは全然違います)で兄弟でチェリストだった兄Jean Pierre Duport(1741-1818)とJean-Louis Duport(1749-1819)がいるのですが、そのお兄さんのJean Pierreの作曲したチェロソナタ6曲はまだ誰も全曲録音をしていないことから、面白い企画なのでは?ということで3年ほど前からパリで一緒に演奏しているRaphael PIDOUXと奥さんのPascal JAUPARTと録音することになりました。

ということで全曲は世界初!なのですが、チェンバロの友人に話したら
【それは・・よっぽどせこい曲なのでは?】←無名のバロックの曲はそういうことも可能性ありなので(汗。。。)

なんて言われて【そうかもね?】なんて。言ってましたが、演奏家によりますね。
せこく聞こえないように頑張らなければ・・なんて。

興味深いのは、このDuport兄弟はベートーベンにも会い、お兄さんはポツダムのFrederic Guillaume IIというチェロも演奏する王様の室内楽の先生として仕え、作曲もしていました。
その頃、ベートーベンもこのチェロ好きな王様に有名な【チェロソナタ2番】を献呈していて、Duport兄弟もベートーベンに自分たちの作曲を披露し、親交があったようです。

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弟のJean-Louisはナポレオンのチェリストとして演奏し、彼の使用していた名器ストラデイヴァりウスはその後FrancommeというChopin時代の優れたチェリストに引き継がれ、何とあのロストロポーヴィッチが受け継いだ楽器だったんですね。
ちょっと背筋がぞぞ~っとしましたが、ロストロさんはナポレオンも見聞きしたチェロを毎日弾いていたんですね。正に楽器も人を選ぶでしょうし、ふさわしい人の手にしか渡らないでしょうね。

今日は初日でマイクのテストのみのはずが?途中から、やっぱりせっかくだから録音し始めようか?
ということで、1番から録音し始めました。

録音技師の女性は私と同じくらいかもっと若いのですが、【ああでもない、こうでもない】と弾いている私たちに的確に【何小節の何拍目のバスをもっと方向を持って、とか呼吸をもっとしても良いのでは?】とアドヴァイスをくれます。

彼女はいわゆる録音技師&音楽デイレクタ―の両方を1人でしてくれるので、こちらも楽です。
でも、フランス語の【シュワシュワ~~ほにょにょにょ~~】というとてもDiscret(控えめな)早口でスピーカーから言われるので、何小節のどこ?!と思わず私は顔をしかめておりますが、他の2人が鉛筆で楽譜にマークしている所を見て、あ、そこね。とそれで何?と思いっきりド素人の様に聞いてますね。

でないと、せっかく直して次のテイクを取るのに1人で全然違うことやってそうなので・・・
ということで、6曲を日曜日~木曜日までに分けて録音していきます。


ソロのラファエルもとてもりラックスしていて録音慣れしているので、お昼はピクニック!と言って朝近所のマルシェで買ってきたというフルーツ、ハム、モッツァレラハム&パンなど広げてみんなで、【C`est bon!美味しい】と言いながら食べて、その間にチェンバロを調律したり・・

ぶっ飛んだのは、この録音の後はすぐにベルリンに飛んでベートーベンのトリオのコンサート&また4,5日の録音があるそうで、本当にタフだな~と思います。

録音技師さん&ラファエルのペースについていけば、きちんと数日後には6曲終わってそうな感じなので、その時に集中して演奏するだけですね。

今まで、オーケストラやアンサンブルのラジオ生放送、ライブ録音はありましたが、ぶっつけ本番!みたいな感じで、今回CDの録音となると本当に1音1音、1小節でも良くない所があると納得いくまで、何回もテイクをしていくうちに、みんなの音も混ざり集中密度が高まるので良い感じです。

しかし通奏低音は常に即興をしているわけですが、自分のイマジネーションの乏しさに限界を感じたりするので、その時浮かんだインスピレーションを大事にしたいものですが、本当に私は凡人だな~~とつくずく感じますね。
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MOzartみたいに勝手にメロデイーがいつでも、どこでも流れてくるというのは、羨ましい限りです。本当に。
ということで、まだまだですが、やれることを精一杯やりたいと思います。