ユゲットおばあちゃん/Huguette
パリもやっと少しずつ暖かくなってきました。それにしてもお正月の頃に日本のぽかぽか陽気からパリに戻り10度以上寒くどうしようかと思いましたが、何とか厳しい冬も終わりつつあるようです。
4年前に南仏の講習会の時にユゲットと
さて、昨日は81歳のユゲットおばあちゃんこと、ユゲット・ドレイフュスさんに会ってきました。詳細はこちらより。私にとってとても親しみのある心から尊敬しているチェンバリスト、そして人生の恩師という感じでここ数年お付き合いをさせて頂いております。
昨年度フランス政府より勲章を貰ったようですが、私にとっても人間国宝のような数少ない本物の音楽家だと思います。
南仏にある14世紀?くらいのチャペルで演奏しました
4年前に初めて南仏の講習会に参加して知り合いましたが、パリのエッフェル塔の近くにお住まいで、家には300年以上前のオリジナルのチェンバロがあります。そんな博物館に通常あるような名器を弾かせて頂くだけでも本当に光栄ですし、私は彼女に聞いて頂くだけでもうありがたいという感じです。
81歳ですが、未だにバッハの名曲、難曲全て頭と指に入っていて本当に頭が下がります。
私の中で難しく考え過ぎて良く分からない部分など、音楽の流れがよりうまく生きるような体の使い方をみせてくれ、試してみると、あ!なんだ!と思うくらいシンプルに音楽が流れたりします。
南仏にある音楽財団でのレッスン風景。私の弾いているチェンバロはH.ヘムシュという世界に10台も現存しない幻の名器。財団所蔵で毎日弾けるなんて夢のような10日間でした。
そんな時私は口を空けて笑いながら弾いたりしているのですが、ユゲットは目の奥がキラーン!と光ったような感じで、無言で微笑んでいるだけです。でも、とてもウイットにとんだジョークを言う方です。
ユゲットは何とも言えない白いオーラっぽい?仙人みたいな感じですね。私は以前スターウォーズのヨーダみたいと思っていました。(失礼!)
弾く第1音目から ”non!"と言われることもありましたし、なんとまだ何も弾いてないのに"non!”と言われ、ユゲットを見ると、第1音を出す為の呼吸が違うということでした。
なるほど。
休憩時間はお庭でみんなでカフェ。5カ国からチェンバリストが集まり、プール、チェス、おいしいお料理を満喫しながら音楽だけに没頭できる天国のような日々でした
音が現象として空気中に響く前から、もう聞こえない音をキャッチしているという感じです。
この聞こえないはずの音を自分の耳の中で聞くことをユゲットから教えて貰った気がします。
チェンバロの音というのは物理的に5秒くらいで消えてしまうと思います。でも、曲に寄って10秒くらい伸ばす音も書かれています。
そんな時、普通に聞くと勿論音はすでに消えているのですが、ユゲットがその1音を弾くと、なぜかまだ空気中に振動して存在しているのが聞こえるというか感じます。
南仏にある有名なSt Maximaのオルガンを見に行きました
以前にバッハの3声のインヴェンションを弾いた時に私が弾くと平面的な感じ。
でもユゲットが黙って座って弾くと、3つの声がチェンバロの中から3Dのように建築の亡霊のように、浮き出てくるわけです。
ひえ~~~!と思い、ユゲットに今までこんなことできる人は見たことないです。と言うと、微笑んで私の耳をつまみました。
要するに“聞きなさい”ということです。
心の耳で聞けば、聞こえてくるということでしょうか。
そんな感じで、彼女とは楽譜に書いてあること、テクニックなどではなく、それを越えた表現、可能性を発見させてくれているような時間をいつも過ごさせて頂き、何というか魂が喜ぶ感じです。
螺旋階段を登ってオルガンをみんなで弾かせて貰いました
そんな表現は普通しませんが、そんな感じです。だから、この出会いに心から感謝しています。
私は、昔からなぜかお年寄りと居ると心地よいことがあり、大学でピアノの先生に毎回怒られて本当に疲れ切った後は、よくおじいちゃんの家に遊びに行ってお煎餅を食べながらテレビを見たりして、ぼ~っとして癒されていました。20歳の孫と88歳のおじいちゃんがなぜか仲が良い訳です。
そんな感じでユゲットとも会いに行くだけで心が弾みます。何というか人生の大先輩という感じで何とも言えず敬愛しています。
私だけでなく、共通の友人のチェンバリストはまるで息子のように過去20年以上、ユゲットの面倒を見ていますが、本当に多くの人から慕われているようです。
講習会の1日OFF日は内陸の湖へ泳ぎに!
さて、昨日は81歳のユゲットおばあちゃんこと、ユゲット・ドレイフュスさんに会ってきました。詳細はこちらより。私にとってとても親しみのある心から尊敬しているチェンバリスト、そして人生の恩師という感じでここ数年お付き合いをさせて頂いております。
昨年度フランス政府より勲章を貰ったようですが、私にとっても人間国宝のような数少ない本物の音楽家だと思います。
4年前に初めて南仏の講習会に参加して知り合いましたが、パリのエッフェル塔の近くにお住まいで、家には300年以上前のオリジナルのチェンバロがあります。そんな博物館に通常あるような名器を弾かせて頂くだけでも本当に光栄ですし、私は彼女に聞いて頂くだけでもうありがたいという感じです。
81歳ですが、未だにバッハの名曲、難曲全て頭と指に入っていて本当に頭が下がります。
私の中で難しく考え過ぎて良く分からない部分など、音楽の流れがよりうまく生きるような体の使い方をみせてくれ、試してみると、あ!なんだ!と思うくらいシンプルに音楽が流れたりします。
そんな時私は口を空けて笑いながら弾いたりしているのですが、ユゲットは目の奥がキラーン!と光ったような感じで、無言で微笑んでいるだけです。でも、とてもウイットにとんだジョークを言う方です。
ユゲットは何とも言えない白いオーラっぽい?仙人みたいな感じですね。私は以前スターウォーズのヨーダみたいと思っていました。(失礼!)
弾く第1音目から ”non!"と言われることもありましたし、なんとまだ何も弾いてないのに"non!”と言われ、ユゲットを見ると、第1音を出す為の呼吸が違うということでした。
なるほど。
音が現象として空気中に響く前から、もう聞こえない音をキャッチしているという感じです。
この聞こえないはずの音を自分の耳の中で聞くことをユゲットから教えて貰った気がします。
チェンバロの音というのは物理的に5秒くらいで消えてしまうと思います。でも、曲に寄って10秒くらい伸ばす音も書かれています。
そんな時、普通に聞くと勿論音はすでに消えているのですが、ユゲットがその1音を弾くと、なぜかまだ空気中に振動して存在しているのが聞こえるというか感じます。
以前にバッハの3声のインヴェンションを弾いた時に私が弾くと平面的な感じ。
でもユゲットが黙って座って弾くと、3つの声がチェンバロの中から3Dのように建築の亡霊のように、浮き出てくるわけです。
ひえ~~~!と思い、ユゲットに今までこんなことできる人は見たことないです。と言うと、微笑んで私の耳をつまみました。
要するに“聞きなさい”ということです。
心の耳で聞けば、聞こえてくるということでしょうか。
そんな感じで、彼女とは楽譜に書いてあること、テクニックなどではなく、それを越えた表現、可能性を発見させてくれているような時間をいつも過ごさせて頂き、何というか魂が喜ぶ感じです。
そんな表現は普通しませんが、そんな感じです。だから、この出会いに心から感謝しています。
私は、昔からなぜかお年寄りと居ると心地よいことがあり、大学でピアノの先生に毎回怒られて本当に疲れ切った後は、よくおじいちゃんの家に遊びに行ってお煎餅を食べながらテレビを見たりして、ぼ~っとして癒されていました。20歳の孫と88歳のおじいちゃんがなぜか仲が良い訳です。
そんな感じでユゲットとも会いに行くだけで心が弾みます。何というか人生の大先輩という感じで何とも言えず敬愛しています。
私だけでなく、共通の友人のチェンバリストはまるで息子のように過去20年以上、ユゲットの面倒を見ていますが、本当に多くの人から慕われているようです。
by kcembalo
| 2010-02-26 01:06
| パリ/Paris